港への出入口
中川口閘門(通船門)
 中川運河は閘門で締め切り水位を一定に保っている運河である。堀川に面して松重閘門、名古屋港に面して中川口閘門が設けられている。かつてはたくさんの艀が出入りしていた。昭和38年(1963)には混雑緩和のため第二閘門が増設されたが、皮肉なことにその数年後からトラック輸送が活発になり、艀輸送は急速に衰退していった。今は観光船などが時々通航している。





◇閘門で運河と海を遮断
 運河と海面の高さを調節して船が通れるようにするため設けたのが中川口閘門である。

 中川口閘門と松重閘門により中川運河は締め切られているので、干・満潮に拘わらず運河は水深が2.8~3mに保たれ常時船が通航でき、川岸との高さも変わらないので荷役が効率的に行える。


中川運河と名古屋港の水位
 運河開削時は閘門が一つだけであった。全長は131mで中央部84mがゲートにより仕切られた閘室になっており幅は10.9mである。ゲートは松重閘門が上下する形式に対し、こちらは観音開き(マイターゲート)になっている。


艀溜から閘門全景 絵葉書



閘門全景 絵葉書


閘門から運河へ 絵葉書

◇第二閘門の増設
 戦後の復興で船や艀の通航が増えてきた。また船体は大型化して、従来は一度に10隻ほど閘室に収容できたのが、昭和30年(1955)代になると7隻しか入れず、閘門通過に10時間も待たされる事もあった。

 このため35年(1960)から従来の閘門の西側に第二閘門を増設する工事が始まった。延長が132.1mで、閘室は長さ84.1、幅が12mの規模でゲートは第一閘門と同様に観音開きである。38年(1963)に完成して閘門は二つになり、より効率的な艀輸送ができる体制が整った。


昭和12年頃 『名古屋港全図』



昭和40年頃 『名古屋港港湾現況図』

◇艀からトラック輸送へ
 運河での輸送は昭和39年度(1964)がピークで、75,000隻が通航して約400万㌧の貨物を運んだ。しかし、昭和40年(1965)代になると舟運がトラック輸送に急速に置き換えられ、その後は急速に減少していった。

 平成3年(1991)には第一閘門が閉鎖されて第二閘門だけの運用になり、その後第一閘門の場所には大雨の時に運河の水を海に排水する中川口ポンプ所が建設されている。


『中川運河再生計画 概要版』


現在 『グーグルマップ』


全景


閘門

海側ゲートの内側

海から閘門へ


閘室内を進む

閘室から運河へ





 2023/11/20