中川橋は運河最下流の橋で、昭和5年(1930)に架けられた橋が令和4年(2022)の架け替えの時に再利用された橋である。都心の橋は桁橋や上路アーチ橋などが多いが、この橋はアーチが路面より上にある下路アーチ橋で珍しい。 土木学会の推奨土木遺産にも指定されている貴重な橋である。 |
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中川橋は中川運河の最下流に架かる橋で、昭和5年(1930)4月に完成した。 鋼製アーチ橋で、延長が47.25m、幅員が16.36m、橋梁は大阪鉄工所(現:日立造船)、橋台は飛島組(現:飛島建設)が請け負った。 昭和36年(1961)にかさ上げ工事が完成した記録があり、橋の下を通る船の大型化に伴い行われたと考えられる。また昭和62年(1987)には橋の両側に歩道橋が添架された。 ◇橋の架け替え 年月を経て老朽化が進み幅も狭いため、架設から81年を経過した平成23年(2011)より改築工事が始まった。 中川橋は市内では珍しいアーチ橋で、アーチ部が二重の三日月形となっており、土木学会の歴史的鋼橋にも選定され、地域のランドマークとして親しまれてきた。このため橋台は改築し橋は補修して再利用する事になった。このため、東向き車線に使われているのは中川運河開削時に架けられた橋である。 工事中に使用する仮橋を下流側に架け、旧橋は上流側に37mほどスライドさせて仮設橋台の上に仮置きして、橋台の改築を行った。 旧橋のアーチ部分は比較的痛みが少ないのでさび取りが主体で一部当て板による補修を行っている。鋼床版(路面の荷重を支える構造物)は金属疲労による亀裂が多少発生していたので全面的な取り替えになった。 改築された橋台に旧橋を戻す作業は、平成30年(2018)2月に行われた。橋を台船の上に乗せて潮の干満を利用して橋台の上に据え付ける工法が採用されている。 また幅員を広げるため、アーチ橋の上流側に幅12.5mの桁橋を増設して、全体では30m幅の橋にしている。 関連護岸など付帯工事も進められ、令和4年(2022)に竣工し、同年に土木学会推奨土木遺産に指定された。 |
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戦前の風景 (絵葉書) | |||
2023/11/03 |
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