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◇田虫に御利益
この神社はタムシ(田虫 皮膚病)に御利益があると言われていた。7~10日間オコゼ(虎魚)を断ち物として願をかけると直ったという。お礼にオコゼを描いた絵馬や本物のオコゼを奉納した。
なぜオコゼを奉納したのであろうか。
山神は一般に女神とされるが非常に醜かった。このため、山神以上に醜い魚のオコゼを奉納すると山神は安心して機嫌が良くなるという説がある。もっとも、山神がオコゼに恋をしたのでオコゼを奉納するという説もあるので、本当のところは解らない。
◇御神木から手が抜けなくなる
『鸚鵡籠中記』の正徳4年(1714)5月5日のところに、次の記録がある。
「日置村山の神の神木大榎の穴え、嶋鴨の巣をさがすとて、所の百姓の子十二三歳ばかりなりしが、つれの子に麦がらを踏えさせ、其者の肩え上り、巣を捜しける間に、下なる子、ふまへし麦がらすべりて落ると、上なる子は穴に手を指入ながら、中にぶらりと懸り居り、何とすれども此手ぬけずて、泣出し叫ぶ。
何者か申出したりけん、大榎から蠎蛇(うわばみ)が出て、少き子を呑とて、御園堀川は勿論、広井辺迄聞伝へて奔波す。晩に及び大工を呼、手の際をほりて、漸ぬきたれども、久敷物はくはず、手は腫れ目などまわしたりと。
古へより此木に崇り多くありと。先年も枝切て乱心となるものあり。三年斗前に枝伐し男、大晦日に此木にて首くゝり死す。」
子どもが鳥の巣を探そうとして、一緒にいた子の肩に上り御神木の穴に手を差し入れたところ、下で支えていた子どもが足を滑らせたので宙づりになり手が抜けなくなってしまったという話だ。また、御神木の枝を切ったものは乱心し首をくくったという話もあるという。
なかなか神威のある御神木である。
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