古くから鎮座 珍しい祭
白 山 神 社
 岩井橋の東に鎮座する白山神社は室町時代以前に創建された古社で、祭礼も他にはない変わったものであった。また神社周辺は鶯谷と呼ばれ、ウグイスの名所として知られていた。


    古くから鎮座する神社   古風な祭礼   ウグイスの名所 鶯谷



古くから鎮座する神社
 白山神社が創建された時期は不明だが、文明年間(1469~87)などの棟札が残されていたので、非常に古くからの神社である。

 祭神は菊理媛命(くくりひめのみこと)で、境内社に大山昨命(おおやまくいのかみ)を祀る日吉神社がある。江戸時代、白山神社は白山権現、日吉神社は山王社と呼ばれていた。旧社格は村社である。



古風な祭礼
 毎年秋に行われる白山祭は、古風を伝える珍しい祭であった。

 『尾張年中行事絵抄』に、次のように記録されている。
 「神社で湯立神事を済ませると、近くの山の神(山神社)をはじめ、村中のあちこちにある天王の小さな社まで、神子(巫女)・社人(神職)・囃子方が回って鈴の舞を奉納する。特に見に行くほどではないが、他では見聞きしたことがない珍しい祭である。」


『尾張年中行事絵抄』



ウグイスの名所 鶯谷
 神社が鎮座する所は日置村の北端近くで、開府当時は城下郊外の田園地帯であったが、だんだんと町屋が建っていった。しかし城下に比べれば静かな静かな地域であった。

 『尾張名陽図会』に描かれている風景を見ると、神社は小高い丘の上に立ち、その南側から西側にかけて丘の裾を回り込むように七志水川が流れている。
 同書には「ここは鴬の名所で鳴き声が到って良い。あるいは足の白い鴬が現れるともいう」と書かれ、『尾張名所図会』には「白山神社の辺りは鴬谷と呼ばれ。今も人家がまばらな所なので、ひとしお静かに鳴き声を聞くことができる」と書かれている。


『尾張名陽図会』




 2021/11/22