祭の花形 山車(だし)は工芸の粋を尽くして造られている。精細な彫刻や刺繍、漆黒の塗装や飾り金物、さらに何といっても名古屋の山車の特徴はからくり人形。
多額の費用がかかる山車の建造は、経済力が豊かな町にしかできない。かつての名古屋には多数の山車があったが、戦災などでその多くが失われてしまった。交通や物流の中心だった堀川沿川の町も、山車を所有しており、今でも3台の山車が残されている。これらはいずれも、文政年間(1818〜1830)に建造されたといわれ、昭和48年(1973)に名古屋市指定有形民俗文化財に指定された。
唐子車
二福神車
紅葉狩車
唐 子 車
内屋敷町(現:名駅南一丁目)の山車。
三人の唐子と翁のからくり人形を載せ、梅の枝の上で唐子が逆立ちする演技が人気。
二 福 神 車
下花車町(現:名駅五丁目)の山車。
恵比寿と大黒のからくり人形を載せ、宝袋から宝船が現れる趣向が面白い。
紅 葉 狩 車
上花車町(現:中村区名駅五丁目)の山車。
能の「紅葉狩」と同様、美女が一瞬にして鬼に変化するからくりは見事。