謎が多いのが社宮司社。各地にあるが、祭神などについてさまざまな説がある。熱田の須賀町にある社宮司社も例に漏れず、資料によりいろいろな神様の名が出てくる神社である。 |
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社宮司社の創建の時期は不明で、旧社格は村社である。 ◇祭神はさまざまの説 『名古屋市史』では、祭神は高皇産霊命(たかみむすびのみこと)としている。この神は『古事記』では天地開闢のときに天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)に次いで現れた神とされている。 市史では祭神について、『熱田旧跡記』などには平将門の首を祀る、『尾張徇行記』には猿田彦命を祀るという記載があることも紹介している。 『金鱗九十九之塵』には「三孤神社」の名前で記載され、平将門を祀るとしている。併せて近くに「扇の橋」があるが、ここは将門の首を埋めたところで別名「米かみ橋」と呼ばれていると記録している。 ◇将門のさらし首 関東へ飛ぶ 平将門は関東に勢力を張った武将で平将門の乱を起こし、一時は東国の独立を図って「新皇」を自称したが、天慶3年(940)に朝廷軍に破れて死亡した。 将門が亡くなったのは弱点だったこめかみを矢で射られたためという話が流布したので、「米かみ橋」の名がついたのである。将門と熱田の関係は不明であるが、関東で死んだ将門の首は京に送られさらし首にされた。その首は関東を目指して飛び去ったという話が生まれ、途中で落ちた場所という伝承が各地にある。 将門は浄瑠璃や歌舞伎・小説などで広く知られていたので、各地に逸話が生まれたのであろう。 なお、江戸時代の社宮司社は現在の場所ではなく、景清社の少し西の場所にあった。 |
2022/02/25 |
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