精進川で禊
鈴之御前社(鈴の宮)
 元は精進川のほとりに鎮座し、川の水で熱田神宮の神官たちが禊をしていた神社である。夏越祓では茅の輪くぐりが行われ、終わると茅の輪は精進川に流された。




 元は現在地より少し東、東海道の北側にあったが、戦後ここへ遷座した。
 熱田神宮の末社で祭神は天鈿女命(あめのうずめのみこと)とされるが、『名古屋市史』は他に「御曽伎(みそぎ)ノ神とも、住吉神とも云ひ、詳ならず」と書いている。

 旧鎮座地の傍らを精進川が流れており、そこは禊(みそぎ)所になっていた。毎年の御田植え祭りの前に、ここで海水を汲み禊をしてから斉田に入ったという。

 また旧暦6月末日に夏越祓(なごしのはらい)が行なわれた。
 精進川には5色の弊を建て、鳥居の近くには茅の輪が飾られた。大宮司をはじめ熱田神社の神主が全て集まり、拝殿の前で2列に座って神事を行った。終わると茅の輪をくぐって式は終わりとなる。その後、一般の人々も茅の輪をくぐった。くぐることで身の穢れが祓われ厄災が除かれるという。 祭が済むと茅の輪は精進川に流された。
 今も7月末に茅の輪くぐりが行なわれている。


『尾張名所図会』


『張州雑志』


『尾張年中行事絵抄』


『尾張年中行事絵抄』




 2023/07/02