西洋式ホテル誕生
絵葉書
名古屋ホテル
 明治になり名古屋が近代的な産業都市に変わると、宿泊施設も旅館から近代的な西洋ホテルが必要になった。
 そのようななか誕生したのが、名古屋ホテルである。

    明治28年 名古屋ホテル誕生   昭和11年 名古屋観光ホテルへバトンタッチ



明治28年 名古屋ホテル誕生
 明治になり名古屋は城下町から産業都市へ変身し、広小路が名古屋のメインストリートになると、多くの店や事業所が立地するようになった。
 来訪者が多様化するなか、それまでの旅館では客のニーズに合致せず、西洋式のホテルが必要になってきた。
 明治42年(1909)の『名古屋市中央部営業案内』を見ると、堀川の一本東の南北道路に名古屋ホテルが書かれている。
 このホテルは名古屋きっての西洋式ホテルであった。

 開業したのは明治28年(1895)5月のことだ。
 和風旅館しかなかった時代の木造洋館建で、当時は珍しかったドーム屋根をいただく建物だ。名古屋人は奇異の目で見て、異人館とも呼んだ。


『名古屋市中央部営業案内地図』
 明治42年
 このようなホテルなので外国人や地位の高い人の利用も多かった。
    明治35年 (1902) 12月    シャム(現:タイ)皇太子マヴシャリヴード 宿泊。万松寺参拝。 
  〃 39年 (1906) 3月 英国皇族コンノート殿下 宿泊。名古屋離宮・御園座など見物。
  〃 41年 (1908) 5月 竹田宮と妃 宿泊。伊勢神宮参拝。
  8月 韓国皇太子 宿泊。神戸へ。
  〃 43年 (1910) 5月   〃    宿泊。関西府県連合共進会(鶴舞公園)見物。



昭和11年 名古屋観光ホテルへバトンタッチ
  このように貴賓の利用が多い名古屋を代表するホテルだったが、名古屋が発展するにつれ、より立派なホテルが求められるようになった。
 昭和3年(1928)、名古屋ロータリー倶楽部会長であった伊藤次郎左衛門(松坂屋)の「名古屋にも国際級のホテルを作るべきだ」との提唱で、名古屋商工会議所などが中心となり、ホテル建設構想がスタートした。創立委員として名古屋財界の有力者7名が準備にあたったが、その中には納屋橋北東に本社を構える加藤商会の加藤勝太郎も含まれている。
 それにより昭和11年(1936)に開業したのが名古屋観光ホテルである。




 2022/01/18