竹林のような風景
『絵本江崎之春』
熱田の門松
 熱田の門松は、ほかにはない珍しい姿だった。正月には各家々が飾り、熱田の町はまるで竹林のようになった。




 近年は飾られることが少なくなったが、正月を象徴するのが門松である。3本の竹を建て周りに松を配した様式で、今ではただの飾り物のように思う人が多いが、本来は年神様が天下る依代(よりしろ)であり、各地方によって様々な様式があった。

 熱田の門松は非常にユニークで、また盛大な門松だった。
 葉が付いたままの長い竹を2~3本から大きなものは50本束ねたものを入口の両側に建て、その基に小松が1本ずつ建てられる。更に両側の竹から入口に竹が斜めにさしかけられ、その交差するところに注連飾りが付けられている。神戸町や伝馬町の旅籠屋には特に立派な物が作られ、行きかう人の目を引いていた。どこの家も葉の付いた竹を建てたので、街中は竹林のような風景となった。

 城下とは違う特異な風俗なので『尾張年中行事絵抄』や『絵本江崎之春』などにその風景が描かれているが、今ではこの風習も失われ見かける事がない。


『尾張年中行事絵抄』


『絵本江崎之春』




 2023/03/17